「同一労働同一賃金」ということを目指し、様々な企業が動き出しているようだ。

 そんな中、日本郵政が悪い前例を作ってしまったようだ。

 非正規社員に一部手当を支給する代わりに正規社員の一部手当を廃止するというのだ。


 周知のとおり、日本郵政は10年余り前に郵便局が民営化してできた企業である。

 給与体系や手当はもともと国家公務員としての各種手当等が手厚く設定されていた。

 民営化後、その手当類も徐々に見直され現在のものとなっているようなのだ。


 見方によれば、「今でも十分に手厚い手当が用意されている」ということになるだろう。

 しかしながらこの手当自体の廃止議論と非正規社員と正規社員の待遇格差の問題を一緒に論ずるべきではない。

 これをいったん許せば、低い方に高い方を合わせる動きを正当化しかねない。

 極端を言えば正規社員になったけれど、待遇は非正規社員時代と同じであるということになりうるのである。

 日本郵政といえば政府が大部分を出資する事実上の国有会社である。
 その日本郵政が行なったということは政府から免罪符を受け取ったと経営者側が受け止めるのは必至である。

 リタイアした私には関係ないが、これは今後に悪しき前例を残したという意味で責任は重いのではないか。